相続時精算課税制度の基本的な仕組み

相続時精算課税制度は、生前贈与を行いやすくするために設けられた特別な贈与税制度です。一定の条件を満たす場合に、贈与税の計算方法を特別な方式に変更することができます。

 

この制度は、一般的に60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫への贈与に適用されます。なお、受贈者の年齢要件は税制改正により変更され、現在は18歳以上である点に注意しましょう。

 

制度の概要については、次のように説明されています。

 

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳(注1)以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の21日から315日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

※国税庁ホームページより抜粋

 

この制度を利用する場合、贈与を受けた翌年の21日から315日までに贈与税の申告を行う必要があります。

 

相続時精算課税制度の非課税枠

相続時精算課税制度の最大の特徴は、一定額までの贈与について贈与税が課されない特別控除がある点です。

 

この制度では、累計2,500万円までの贈与について贈与税が課税されません。もし贈与額が2,500万円を超えた場合には、超過した部分に対して一律20%の税率が適用されます。

 

ただし、相続時精算課税制度の大きな特徴として、生前贈与された財産は将来の相続時に相続財産へ加算して相続税を計算する点が挙げられます。つまり、贈与時点で税金がかからなくても、相続時には課税対象として扱われる可能性があるのです。

 

相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度には、財産の早期移転や相続対策に役立ついくつかのメリットがあります。主なポイントを整理して確認しておきましょう。

 

2,500万円までの生前贈与が非課税になる

この制度の最も大きなメリットは、累計2,500万円までの贈与が非課税になる点にあります。通常の贈与税制度では、年間110万円までしか非課税になりませんが、相続時精算課税制度を利用すれば、まとまった金額の財産を一度に移転することが可能になります。

 

これにより、子世代や孫世代が早い段階で資金を活用できるという利点があります。

 

賃貸不動産の生前贈与による相続対策が可能

賃貸不動産を生前贈与した場合、将来の相続では不動産の評価額が課税対象になります。

 

一方、贈与後に発生する賃料収入は受贈者の財産として扱われるため、将来の相続財産の増加を抑える効果が期待できます。

 

この仕組みを活用した場合、不動産の評価額が特別控除の範囲内であれば、相続税対策としての活用も視野に入ってくるでしょう。

 

贈与者ごとに制度を選択できる

相続時精算課税制度は、贈与者ごとに制度を選択することができます。

 

例えば、

  • 父からの贈与は相続時精算課税制度を利用する
  • 母からの贈与は通常の贈与税制度を利用する

というように、贈与者ごとに制度を使い分けることが可能です。

 

生前贈与による相続トラブルの防止

生前に財産の一部を移転しておくことで、将来の遺産分割をめぐる争いを軽減できる可能性があります。あらかじめ財産の配分を決めておくことで、相続開始後の遺産分割協議が円滑に進む場合もあります。

 

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度は有利な制度に見えますが、利用する際には注意すべき点もあります。制度の特徴を理解したうえで選択することが重要です。

 

暦年課税に戻すことができない

一度この制度を選択して「選択届出書」を提出すると、同じ贈与者からの贈与については暦年課税に戻すことができません。

 

そのため、将来的に少額の贈与を長期間続けたい場合には、不利になる可能性があります。

 

相続時に課税される可能性がある

贈与時点では税金がかからなくても、相続開始時には贈与された財産が相続財産に加算されます。結果として、基礎控除を超えた場合は相続税が発生する可能性もあることを覚えておきましょう。

 

贈与された財産は物納できない

相続税の納税が困難な場合には、土地や建物などの財産によって納税する「物納」という制度があります。

 

しかし、相続時精算課税制度によって贈与された財産については、物納の対象にならない場合があるため、納税資金を現金で用意する必要がある点に注意が必要です。

 

2,500万円を超える部分には贈与税が課される

特別控除は累計2,500万円までとなっています。これを超える部分については、一律20%の贈与税が課されます。

 

ただし、その後相続税を計算した際に相続税が発生しない場合には、支払った贈与税が精算される仕組みになっています。

 

まとめ

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与を非課税にできる生前贈与制度であり、財産の早期移転や相続対策に活用できる制度です。

 

一方で、制度を選択すると暦年課税に戻せないことや、相続時に課税対象となる可能性があるなどの注意点もあります。

 

制度を利用するかどうかを判断する際には、

  • 贈与者の年齢
  • 贈与額
  • 将来の相続税負担
  • 不動産など財産の種類

といった要素を総合的に検討することが重要です。制度の仕組みを十分に理解したうえで、適切な相続対策を検討することが望ましいでしょう。

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