相続税とは
相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続した場合に課される可能性がある税金です。ただし、すべての相続で税金が発生するわけではありません。
相続税には基礎控除という非課税枠が設けられており、相続財産から債務や葬儀費用などを差し引いたうえで、さらに基礎控除額を超える場合にのみ相続税が課税されます。
そのため、遺産総額が基礎控除額を下回る場合には相続税は発生せず、原則として申告も必要ありません。一方で、基礎控除額を超える場合には、相続税の申告と納税が必要になります。
相続税が課税される条件
相続税が課税されるかどうかは、遺産の総額が基礎控除額を超えるかどうかで判断されます。
相続税の計算では、まず被相続人の財産をすべて調査し、そこから債務や葬儀費用などを差し引いて課税価格を算出します。その後、基礎控除額を差し引いた残りの金額が課税対象額です。
したがって、次のような場合には相続税の申告が必要になります。
- 遺産総額が基礎控除額を超える場合
- 財産評価によって基礎控除額を超える可能性がある場合
特に不動産など評価額が変動する財産がある場合は、正確な評価が重要になってくるでしょう。
相続税の課税対象となる財産
相続税の課税対象となる財産は、大きく分けて次の4種類があります。それぞれの内容を理解しておくことで、相続税の計算を正確に行うことができます。
被相続人が死亡時点で所有していた財産
相続税の基本的な課税対象は、被相続人が死亡時点で所有していたすべての財産です。財産の所在地が国内か国外かを問わず、相続税の対象となる可能性があります。
主な財産には次のようなものがあります。
- 現金・預貯金
- 不動産(土地・建物)
- 株式などの有価証券
- 貴金属や自動車など価値のある財産
これらの財産の評価額を合計したものが、相続税計算の基礎となります。
みなし相続財産
相続によって取得した財産ではなくても、相続税の計算上は相続財産とみなされるものがあります。これを「みなし相続財産」といいます。
代表的なものは次のとおりです。
- 死亡保険金
- 死亡退職金
これらには次の非課税枠があります。
500万円 × 法定相続人の数
この金額を超える部分が相続税の課税対象となります。
計算例
- 死亡保険金:3,000万円
- 法定相続人:3人
非課税枠
500万円 × 3人 = 1,500万円
課税対象額
3,000万円 − 1,500万円 = 1,500万円
相続時精算課税制度による贈与財産
相続時精算課税制度を利用して生前贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続税の計算に加算されることを理解しておきましょう。
この制度は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合に利用できる制度で、最大2,500万円までの贈与が非課税となります。
ただし、相続が発生した際には、その贈与財産の価額が相続税の課税価格に加えられます。
相続開始前の贈与財産
被相続人が死亡する前に贈与された財産のうち、一定期間内のものについては相続税の課税対象として扱われます。
被相続人が死亡する前の一定期間内に受けた贈与は、相続税の計算上、相続財産に加算されますが、この制度は、生前贈与によって相続税を回避することを防ぐために設けられている点に注目しましょう。
課税価格の算出方法
相続税を計算するためには、まず課税価格を正確に算出する必要があります。課税価格は、相続財産の評価額から一定の費用や債務を差し引いて求めます。
主な評価方法は次のとおりです。
土地
路線価などを基準として評価します。
建物
固定資産税評価額を基準に評価します。
また、次のような金額は課税価格から差し引くことができます。
- 被相続人の借入金などの債務
- 葬儀費用
これらを差し引いた金額が課税価格となります。
基礎控除額
相続税には基礎控除という非課税枠が設けられており、この金額を超えた部分のみが課税対象となります。基礎控除額は法定相続人の人数によって変わります。
基礎控除額は次の計算式で求めます。
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
この金額を超えた場合に、相続税の課税対象となります。
相続税率
相続税は、課税遺産総額に対して段階的な税率が適用されます。
| 課税遺産総額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超〜2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超〜3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超〜6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
小規模宅地等の特例
相続税の負担を大きく軽減できる制度として、小規模宅地等の特例があります。
この制度は、被相続人が居住していた宅地などについて一定の要件を満たす場合、土地の評価額を大幅に減額できるものです。
- 限度面積:330㎡
- 減額割合:最大80%
計算例
土地評価額:8,000万円
減額額
8,000万円 × 80% = 6,400万円
相続税評価額
8,000万円 − 6,400万円 = 1,600万円
なお、この特例を利用するためには、相続税の申告期限までに申告を行う必要があります。
相続税申告の期限とペナルティ
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日から10か月以内です。期限内に申告や納税を行わない場合には、次のようなペナルティが課される可能性があります。
延滞税
納期限を過ぎてから納税した場合、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて延滞税が課されます。
無申告加算税
申告期限までに申告を行わなかった場合には、無申告加算税が課されることがあります。
- 自主的に申告した場合:5%
- 税務調査の通知後に申告:10〜15%
- 税務調査後に申告:15〜20%
期限を過ぎるほど負担が大きくなるため、早めの対応が重要です。
まとめ
相続税は、相続財産から債務や葬儀費用などを差し引き、さらに基礎控除額を超えた場合に課税されます。課税対象となる財産には、預貯金や不動産だけでなく、死亡保険金などのみなし相続財産も含まれるため、正確な財産調査が重要になってきそうです。
また、小規模宅地等の特例などを活用することで相続税の負担を軽減できる場合もあります。相続税の申告期限は10か月と限られているため、財産の内容や評価に不安がある場合には、早い段階で専門家に相談することが重要です。









