令和641日から相続登記が義務化されたため、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となる点にも注意しましょう。未登記建物が相続財産に含まれる場合は、通常の相続不動産より手続きが増えるため、早めの確認と対応が重要です。

 

未登記建物とは

未登記建物とは、建物が建っているにもかかわらず、登記簿にその建物の表題部が作成されていないものをいいます。

 

新築時に表題登記をしていない、増改築後の変更を放置していたなどの事情で生じることが多く、相続時になって初めて判明することも少なくありません。未登記のままでは権利関係の整理が進めにくく、売却や担保設定にも支障が出やすくなります。

 

未登記建物に必要な手続きとは

法務局によれば、未登記建物についてはまず表題登記を行い、その後に所有権保存登記をする必要があるとされています。

 

つまり、通常の相続不動産よりも手続きが一段階多く、準備に時間がかかりやすいのが特徴です。相続登記の義務化後は、こうした準備の遅れが期限超過のリスクに直結するため注意が必要です。

 

相続した未登記建物に必要な登記

未登記建物の相続では、建物の存在を登記簿に載せる手続きと、所有者を登記簿に反映させる手続きを順に進めます。

 

表題登記

未登記建物には表題部が存在しないため、まず表題登記によって建物の基本情報を登記簿に記載します。

 

不動産登記法では、新築した建物や表題登記がない建物の所有権を取得した者は、取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならないとしています。相続によって未登記建物を取得した場合も、相続人が法にもとづき手続きを行わなければなりません。

 

(建物の表題登記の申請)

第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

※e-Govより抜粋

 

表題登記に必要となる主な書類

表題登記では、建物の存在や所有関係、相続関係を裏付ける資料を幅広く準備する必要があります。

 

  • 登記申請書
  • 建物図面
  • 申請人の住民票
  • 固定資産税関係資料
  • 被相続人の戸籍
  • 相続人全員の戸籍や印鑑証明書
  • 遺産分割協議書 など

 

必要書類や補足資料は法務局の運用や建物の状況によって異なることがあるため、事前確認が欠かせません。特に古い建物では図面が残っていないことも多く、現況測量や図面作成が必要になることもあります。

 

所有権保存登記

表題登記が完了すると、次はその建物について誰が所有者であるかを権利部に登記する必要があります。これが所有権保存登記です。

 

未登記建物では、表題部だけでは権利関係が公示されないため、所有権保存登記をして初めて所有者情報が整います。法務局の相続登記ガイドブックでも、表題部のみ存在する建物については所有権保存登記を申請することになると案内されています。

 

相続登記

権利関係が整った後に、相続による名義の承継を登記簿へ反映させる手続きです。

 

未登記建物は、実務上、表題登記と所有権保存登記を経たうえで、相続に基づく権利関係を整理していく必要があります。建物の状態や相続の経過によって申請の組み立ては変わるため、個別事情に応じた確認が重要です。法務局としても、未登記建物や表題部のみの建物については通常の相続不動産と異なる注意が必要としています。

 

相続登記義務化の影響と未登記のリスク

未登記建物は手続きが多いため、登記期限に注意しながら手続きすることが重要になってきます。

 

期限を過ぎると過料の可能性がある

相続登記は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。未登記建物の場合、表題登記や図面作成などに時間を要しやすいため、通常の相続不動産以上に早期対応が重要です。正当な理由なく義務を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となり得ます。

 

未登記のままだと実務上の支障が大きい

建物が未登記のままだと、売却時に手続きが止まる、金融機関の担保にしづらい、相続人間で所有関係の認識が食い違うなどの問題が生じやすくなります。また、固定資産税や相続税を正しく申告するうえでも、建物の状況を正確に整理しておく必要があります。

 

また、相続人が複数いる場合、未登記建物の扱いが遺産分割協議の争点になることもあります。

 

未登記建物に関する手続きの流れ

未登記建物を相続するときは、当該不動産の発見から登記完了まで段階的に進めることが重要です。

 

未登記建物の発見

固定資産税の課税明細や名寄帳、現地調査、登記事項証明書の確認などにより、未登記建物の存在が分かることがあります。土地は登記されていても建物だけ未登記という例もあるため、建物ごとに確認することが重要です。

 

必要書類の準備

被相続人と相続人の戸籍、遺産分割協議書、住民票、固定資産税関係資料に加え、建物図面や現況を示す資料の準備が必要になります。古い建物では図面が不足していることがあり、土地家屋調査士などへの依頼が必要になる場合もあります。

 

表題登記の申請

必要書類を管轄法務局へ提出し、建物の所在や種類、構造、床面積などを表題部に記録します。未登記建物ではこの段階を経ないと、その後の権利登記へ進めません。

 

所有権保存登記

所有権保存登記とは、表題登記完了後に所有権保存登記を行うことを指しており、手続きを完了させることで建物の所有者が登記簿上明確になります。未登記建物の相続では、この手続きを経て権利関係の基礎を整えることが必要です。

 

未登記建物を相続するときの注意点

未登記建物は古い建物であることも多く、資料不足や相続人間の調整負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

 

図面や面積が不明なことが多い

古い建物では、新築時の図面や増改築後の資料が残っていないことがあります。

 

このような場合、現況確認や測量、図面作成が必要となり、申請準備に時間を要するケースも出てくるでしょう。特に木造の古い建物や長年改修を繰り返した建物では、現況と課税資料が一致しないこともあります。

 

遺産分割協議の負担が増えやすい

誰が建物を相続するのか、どの資料をもとに所有関係を立証するのか、といった点で遺産分割協議が長引くことがあります。相続人が多いほど、建物の取扱いを明確にしておくことが重要です。

 

専門家への相談も検討する

表題登記なら土地家屋調査士、所有権保存登記や相続登記なら司法書士、相続税申告に関しては税理士など、不動産相続では分野ごとに専門家の力を借りるべき場面があります。資料不足や期限管理に不安がある場合は、早めに相談した方が)いいでしょう。

 

まとめ

未登記建物を相続した場合、通常の相続不動産よりも手続きが複雑になるため早期対応が不可欠です。

 

相続登記義務化により、相続開始を知った日から3年以内の申請が必要となっていますから、未登記建物がある場合は表題登記や所有権保存登記を早く済ませることが肝心になるでしょう。過料のリスクを避けるためにも、固定資産税資料や現地確認を通じて未登記建物の有無を早めに把握し、必要書類の収集と遺産分割協議を進めることが大切です。

 

未登記建物の相続は、建物図面の不足や相続人間の調整など、一般的な相続よりも難易度が高くなる傾向があります。手続きの進め方に不安がある場合は、専門家に相談しながら、期限を意識して確実に対応していくことをおすすめします。

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